今の世の中ルービックキューブを知ってる人がどのくらいいるだろうか。私はルービックキューブとは無縁の人生を送ってきた。数年前、ユニクロでルービックキューブのTシャツが売っていたので買って気に入ってよく着ていた。そのカラフルなインパクトのあるTシャツは周りからよく笑われたものだが気にしなかった、心のどこかでルービックキューブを求めていたのかもしれない。
とはいえ、実際のルービックキューブをクルクルすることなどないまま数年が立っていた。そんな私の手元に今、ルービックキューブが。さらに、会社のデスクの上にもルービックキューブが。隣の席の同僚にも一つ、ルービックキューブをプレゼント。空前のルービックキューブバブルが、今訪れている。
というのもオンラインクレーンゲームで安価で獲得できる景品としてルービックキューブがラインナップされたからである。クレーンゲームなんて、正直本当に欲しいものを獲得するのではなく、獲得するのが楽しいだけまで言っていいかもしれない。
突如としておとずれた24時間ルービックキューブ生活。縛りもノルマもミッションもない、ただただ、いつでもルービックキューブを触っていい生活。家でテレビを見ながらカチャカチャ、仕事に煮詰まったらカチャカチャ、さすがに通勤時に電車で取り出すのは白い目で見られそうなのでやめた。会社ではすでに白い目で見られているので問題なかった。
それでも一向に揃えられない。
ある時会社の偉い人が、私が勤務時間にルービックキューブやっているという誰かの通報を聞きつけて逮捕しに来たのだが、「四六時中やってるようなら、もう揃えられるようになってます!」と言い放って事なきを得た。才能がなくてよかった。ちなみにその偉い人は1面だけそろえて帰っていった。
私は一向に揃えられない。
いつしか私のルービックキューブは社内の多くの人が知るところとなり、腕に覚えのあるルービックキューバーが休憩時間に勝手に揃えて立ち去るようになった。
自分の手では全くそろわないのに。
こんな情報化社会である。ルービックキューブの必勝法、攻略法など氾濫しているのが実情である。私はそれらのサイトを教科書と呼び、カンニングしつつそろえる作業に入った。本来の楽しみを90%くらい削減している気がする。するとどうだろう。なんでも言われた通りにやる性格が幸いしてか、敷かれたレールを歩くだけが得意なのか、なんとかそろえることができた。ただし、なんでそろったか全くわかっていない。
年末年始の休暇を利用してルービックキューブをにぎにぎしていようと思ったのだが、時間がありすぎると人間どうしようもないもので、パチンコのハンドルを握ったり、ボートレースにあぶく銭をつぎ込んで手に汗を握ったり、最終的には股間を握ったりしてすごしていた。
今年もどうにもならなそうだ。