日本にはびっくりするくらい多くの商業施設がある。イオンモールをはじめ、ららぽーと、アリオ、商業施設というくくりであれば東京ミッドタウン、六本木ヒルズとかもそうなのかもしれない。都心、駅前の商業ビルと郊外のモールで毛色は違うし、レベル感の違いもあるが様々なテナントが入っている。高級ヘルシー志向のセレブスーパー、ハイブランドのセレクトショップ、雰囲気のいいバーなどが軒を連ねる商業施設もあれば、庶民派スーパーにファストファッション、ゲームセンター、ガチャガチャの森、1週間過ごせるショッピングモール。無論私が出入りできるのは後者である。
さて、そんな郊外のショッピングモールあるあるの1つが、通路の真ん中、テナントではない期間限定出店みたいな顔したウォーターサーバーや格安SIMの営業だろう。そこではティッシュを配りつつ、契約中の通信環境を聞いてきたり、家で何を飲んでいるか聞いてくる。一年中鼻炎がたたって、ティッシュがどうしても欲しくなってティッシュなどもらおうものなら、即席の商談ブースに招かれ、家族構成、趣味嗜好、お住まいの地域など情報抜かれ放題である。
そんな苦い思い出もあり、営業トークが苦手な私はしばしばうつむき加減で通り過ぎるもので、そういったお客さんも多いのだろう。最近ではティッシュなどもはや関係なく「スマホ持ってますか?!」とか、「水飲んでますか?!」なんて言葉を投げかけてくる。たまに「お腹痛い、助けて下さい!」みたいな反応しないとこっちが悪いことしてるような輩までやってくる奴がいるので気をつけてほしい。
子供を抱き込んで親を籠絡するために、ターゲットを子供に定める手法も流行っている。子供相手に駄菓子を配ったり、バルーンアートで気を引こうとしている。娘がショッピングモールでバルーンアートに気を引かれ、ウォーターサーバーのセールスを受けたことがある。複雑な家庭事情を話す必要はないのでお茶を濁した。ウォーターサーバーだけに。
ある時ショッピングモールを歩いていたらバルーンアートで集客するタイプのスマホキャリアがあった。そんな多くの客がいるわけではなかったので、社員(バイトの可能性も高いと睨んでいる)の何人かはバルーンアートに勤しんでいた。バルーンアートでお金もらえるなんて大道芸人か、もしくはピエロじゃないか。なんて思いつつ声かけられないように通り過ぎようとする。
バン!
耳元0メートルの距離で、突然の乾いた破裂音。乾いた破裂音であって、銃声かどうかはわからない。TVドラマや映画でしか聞いたことがないので、本当に銃声でないと言い切れない。ついでにいうと当然だが痛みもない。痛みもないのだが、銃声に撃ち抜かれた私は膝から崩れ落ちる。本当に破裂音とその直後に銃撃された市民のように倒れた込んだのである。
もはや説明するのも恥ずかしいが、バルーンアートの細長いあの風船が割れた音である。乾いた破裂音とか正解言っちゃってた。私がブースの前を通り過ぎる瞬間、バルーンアート初心者のバイトが、見事にバルーンを割ったのだ。アクション俳優かスタントマンの血が流れてる(AB型だから)からとも言えるが、圧倒的にビビり倒して転倒しただけだった。「倒」のゲシュタルト崩壊。
ブースのスタッフは、大丈夫ですか!って心配してくれてたけど、どこか半笑い。そんなんだったら警察呼んだり、狙撃ポイントを見つけるくらいのテンションでいてくれた方がいい。幸いにも1人ではなかったので一命を取り留めたが、自分だけだったら恥ずかしさで顔から火が出て、結局死んじゃう。
このキャリアは絶対契約しないと誓った。