初めての入院と入院費と注意事項と過ごし方

ハードボイルド入院 テキスト
高額医療制度

さて、入院生活が始まった。幸運なことにこれまで入院とは無縁な生活を送っていたし、離婚を機に医療保険も解約していたので、いろいろ不安だった。同じような入院童貞で無保険の向こう見ずな中年たちに、入院生活や食事、夜のお楽しみ、最後に費用についてお伝えしていこうと思う。

内見なしの即入居

病床を用意してもらって案内されたのは4人の相部屋。入口入って右側、窓はあるんだけど外の景色を見ることは一切なかった。時間は昼すぎ、突然の入院だったので全く荷物がない。着替え、仕事道具のパソコン、暇つぶしの任天堂switchやらなんやらを家から同居人に持ってきてもらった。ただし、世はコロナ全盛期。ウィルスに敏感な病院に、不特定多数の人間がやってきたらパンデミックを起こそうといってるようなものである。面会は認められない。荷物も受付で預けてもらって運んでもらうスタイルであった。そういう時代だったんだと思ってほしい。今は時間内であれば入れると思う。そうそう、病室の天井の写真をとってSNSに「知らない天井だ」っていうのはマスト。これで同世代のハートはバッチり。若者には白い目で見られる。

僕にもできた主治医とスタンド(点滴)

点滴とカラカラ

届いた寝間着に着替えている間も私の腕には常に針が刺さっていた。点滴が繋げられ点滴をカラカラ引き連れての行動が私のスタイルになった。弱った老人入院患者の一番メジャーなイメージに今の私はなっている。そんな状態になってようやく医者が現れた。「あなたの主治医です」
主治医て本当にいるんだ。芸能人とか政治家にしかいないと思ってたけど、考えたら死んだじいちゃんを診てくれていた医者とかも主治医なんだよな。俺、この人に看取られるってことなんだろうか、などと考えていたら治療計画を教えてくれた。

大腸の憩室が炎症を起こしています。治療は、絶食して炎症を抑える薬を投与し続けること。絶食して。大腸を休ませるということなんだろうが、絶食である。味覚はどっかに置いてきたが、太るために食べるをモットーに生きてきて、そして太ったこの中年に絶食とは酷な話である。そんなことしたら私、痩せちゃう。間違いなく。そんなことを思ってリアクションしていたが、主治医はお構いなしにとりあえず向こう2日間の絶食を言い渡して去っていった。

絶対痩せる絶食ダイエット

食事はでないが、病人だもの、栄養は人一番摂取しないとまずい。というわけで、点滴である。点滴はすごい、さしっぱなしの針とそこへ延びる管、そこからいろんな液体を体に摂取することができる。炎症を抑える薬の時もあれば食事代わりの液体の時もある。なんなら2つ同時になんてこともあった。点滴すげえと思った。ちなみに食事代わりの点滴のおかげでお腹はそんなに空かないというのが、先輩入院患者である母親の説明だったのだが、全然お腹は空いてた。なんならお腹が痛いだけで熱はないので、点滴とともに病院内をウロウロ、売店で雑誌をパラパラ、紙面や売店の食料品を見てお腹グーグーてなもんであった。本当に瘦せてしまうぞ。

入院中の仕事

食事はしばらくお預けとなったが、元気ではある。私は仕事柄インターネットさえあれば活動できるので、みたくもない社内連絡ツールを確認することにした。過去公衆電話が置いてあったようなスペースがあって、テレビ会議もできそうだったが、さすがに髪の毛ボサボサで人様にさらすような顔ではないので、そこは欠席した。病院はwifiが飛んでいるため、仕事に困りはしないのだが、wifiがあると教えてくれたのは2日くらいたってからだったので、それまでスマホテザリングしてやっていた。そんなだから仕事は短時間に集中して、確認事項をバッと確認して、バッと指示を送ってすぐオフライン。そもそも入院してるときに仕事する必要ない、全然会社はまわってるから。

必見、入院中の過ごし方

点滴とゲームとクロスワード

仕事以外にすることと言ったら、買ったきり読んでいなかった本を消化したり、ゲームをやったり、動画配信をみたりだ。仕事はほっておいて休むことを考えてほしい、普段できないことをやってほしいと老婆心ながら思う。私は虫の知らせかなんだか、あまりゲームをやらないのに入院直前にペルソナ5を購入していたので、そればっかりやっていた。あと、クロスワード雑誌。そういえば触れていなかった病室にはテレビがあり、テレビカードを購入することで視聴ができる。他のデバイスもそうなんだけど、4人部屋ということもあり音量には注意したほうがいい。昼間とかなら多少音声出してもいいが、夜は絶対NG。同部屋には人生の先輩が多いので、無駄な隙を与えないことをおすすめする。老人て耳が遠いはずなのに、こういう音は気が付くものだ。

勘違いしがち、期待しがち

夜も更けると当然、ムラムラする。今、あなたが思い浮かべている独特なジャンルの動画で得た知識は、一切当てにならない。いいか、それはファンタジーだ。お風呂に入れない、シャワー浴びれない、そんなあなたのために体を拭いてくれる、それはどっかの介護現場だ。私も常に点滴が刺さっている状態で、シャワーは浴びれず、一人体を拭いたり、洗面所でシャンプーをしていた。周りが爺さんばかりだから、相対的に見れば若く見られるしチヤホヤされるなんて考えていても、お前も爺さんの一部でしかない。ちょっとだけ長生きしそうな爺さんだ。

念願の病院食

そんな生活(ムラムラするけど我慢する、空腹アピール)をしているとようやく食事の許可が下りる。絶食3日にしてようやく解禁である。さすがに急にA5ランク和牛のステーキなんて食べたら胃が腰を抜かして食べたものすべて毛穴から飛び出ることになりかねないので、ほぼほぼお湯のお粥からスタートする。病院でステーキが出てくるわけないだろ。看護師に腹減ったアピールを繰り返した結果の3日ぶりの食事である。お粥とはいえ3日ぶり、食いしん坊が服着て歩いてるようなやつが3日ぶりに食事したら泣いちゃうんじゃないかと思ったのだが、お粥はお粥だった。なんなら米の原型をとどめていないくらいのとろっとろの、食べたことないお粥。目が点になりながら3分で食事を終えてしまった。

時代を先取って米をなくしました。

食事は日に3回ちゃんとある。もともとの生活よりよっぽど健康的だし、酒は飲まないし、本当に痩せてしまうんじゃないか。徐々にお粥が米本来の形が残るようになり、最終的にはご飯とふりかけになった。毎日のように血を抜かれ、炎症の具合をチェックし、触診でお腹のハリを確認、歩いて響いたりしないか自己申告。そんな繰り返しでようやく1週間の入院を終えた。退院の日は主治医、看護師総出でお見送りを、してくれるわけもなく荷物をまとめて会計へと進んだ。

気になるお値段は

さすがに総合病院、会計は自動精算機がいくつも並んでいる。その前にテレビカードの残高精算を忘れずに。精算機に並ぶ前に何かの手続きをした気がしたのだが、よく覚えていない。医療保険に入っているかどうか話した記憶がある。
さて、入院費。病院にATMがあるので現金をおろすことも可能、精算機でクレジットカードを利用することもできた。私は8日間の入院で、4人部屋、食事も後半のみというエコノミープランだったと思うが、だいたい11万円ほどだったと記憶している。医療保険に入っていてもおそらく発行された領収書とかをもとに精算すると思うので会計はみんな必須だと思う。突然の入院と11万円の出費、健康を手に入れた代わりに支払ったものは安くはなかった。

知らないではもったいないお得な制度ご紹介

このままで終わるわけにはいかない。突然の大きな出費。何のために毎月健康保険ひかれてるんだ、我々サラリーマンは。日本には「高額療養費制度」がある。一旦支払を終え、診療報酬明細(レセプト)確定後、「高額療養費支給申請書」を健康保険者に提出することで、年収にもよるが複雑な計算式の結果はじき出された金額が通常2〜3ヶ月後に払い戻される夢のような制度がある。一般的な手順を書いたが、自分の会社の健康保険を調べても調べても申請方法が出てこなかった。なんと私の場合、特に申請不要で給与が振り込まれる口座に振り込みが行われた。入院の際には自身の健康保険の申請方法を確認しておくことをおすすめする。

いくつか注意事項がある。勘違いしてる人はいないと思うが、かかった入院費用以上戻ってくることはない。それは保険会社がやってるやつを利用するとそういうこともあるかもしれない。あと戻ってくるからと贅沢して、個室がいいとか、ステーキを食べるとかそいうオーダーを出した場合、それは療養費の対象にならない。そこは実費なので、医療保険に入ってる場合や、この際リゾート気分でゆっくりしたいなんて人にだけおすすめする。

終わりに

いかがだったろうか。これで入院は怖くなくなったことだろう。ちなみに私は至って健康になったが期待していたダイエット効果は皆無で体重が驚くほど変わらなかった。

キムラ

キムラ。40年物。
よく考えないで人生を送っていたらよくわかんない人生になってしまった。
お腹が弱い。

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